仕事の段取りをつけてよく朝一番の新幹線に乗った。晴天だ。
東京駅で総武線に乗り換え千葉、都賀へ。光和総合病院に着いた。

午前11時ちょうど。かなり厳しい日差しの中に電話する。
「今病院前のバス停降りたとこ」
「早かったですね。すぐ降りていきます」
母ひろこと声は似ているが、どんな子だったか?
バレーばっかりやってた体育会系の小柄なおとなしい娘。そんな気がする。

やがて外来の方からそれらしき人が見えた。手を振っている。小柄な子。
だがパンチの効いたマメタンのように手を振っている。笑顔だ。なぜ?
こちらは白カッターに作業ズボン、リュックをしょった禿爺さん。

ピチピチのジーパンにTシャツ。短めの髪を後ろに結んで化粧けは全くなし。
すばらしい!まるで新生中国の農村の娘みたいだ。はじける笑顔。
こちらも思わず笑顔で手を挙げている。

「おじさん!ありがとう!早かったね。助かるー」
なるほどそういうことか。そうだよな。
「ああ、もう大丈夫だ。この二日なこがずっとつききりだったんだろ」
「ええ昼は交代で、母とリオとカイと。三人今こっちへ向かっています」
「今日はもうみんなゆっくり休め。私一人で十分だから」
「ありがとうございます」

ほんとにうれしそうにぺこんと頭を下げる。
この笑顔を見るだけでも来たかいがあったというものだ。
疲れはふっとび身が引き締まる。さあ克彦最後まで頑張ろうか。