そう校長から問いかけられて、古庄はしっかりと頷いた。



「…はい。誓います」



校長は微笑んで古庄に頷き返し、それから今度は真琴の方へと向き直った。



「賀川真琴さん」


「はい」


「君の花婿となる古庄和彦くん。彼のどんなところをどのように好きなのか、私たち立会人の前で言ってみなさい」


心の準備が出来ていた真琴の方は、先ほど古庄に投げかけられたものと同じ言葉を、戸惑うことなく受け止めた。

その想いを言葉にする間、じっと目の前にいる校長を見つめ、それから口を開いた。



「出会った当初、私は和彦さんのことが怖くてたまりませんでした。
彼の圧倒的な容姿の前で、平凡すぎる私は足がすくみ、言葉も震えるので会話もままなりませんでした。
けれども和彦さんは、釣り合いも取れない、何の取り柄もない、こんな私を愛してくれました。
優しく大らかな心で、どんな時でも私を包み込んでくれました。
和彦さんの飾ることのない素直さは、私の臆病で錆びついていた心を解き放してくれ、私が一人の人に恋をし、こんなにも深く想うことができるということに気付かせてくれました。
彼が見据える未来には、常に希望が開けていて、力強く私をそこに導いてくれます。彼の側にいれば、何も怖いものはありません。
そして私は、彼が与えてくれるのと同じものを、それ以上のものを、彼に返したいと思います。
彼の全てを、私の全てで愛していこうと思います…」