きみが死ぬまでそばにいる

 
 食事を終えたわたしたちは、予定通りに映画を見た。流行りの恋愛映画はどこか陳腐な結末で共感はできなかった。
 けれども、陸や周囲にいた客の何人かは泣いていたようだったから、やっぱりわたしがおかしいのかもしれない。
 そして――映画を終えたわたしたちは、遂に陸の家へと向かう。



 二人手を繋いで歩いて、まもなく陸が住むマンションに到着した。見上げると二十階以上はあるだろうかと思った。そう、ちょうど、わたしが母と住んでいたのもこんなマンションだったような気がする。

「多分母さんがいますけど、あまり気にしないで下さい。どうせ、夕方から出かけるって言ってたし」
「そんな、ご挨拶しなきゃ。付き合ってるんだもの」
「いや、なんか、恥ずかしくて」

 二人きりのエレベータの中、陸は気恥ずかしそうに視線を逸らした。

「お父さまはいらっしゃらないの?」
「さあ、多分。あんまり帰ってこないんです。会社に泊まっていることが多いみたいで」