クローゼットルームを出ると、朔耶と身長が高めの優雅で高そうな服を着た、神々しさを放つ女性が待っていた。
朝霞に、誰なのか尋ねようかと横を向くと、当の本人は涙が出そうな目をキラキラさせていた。

朝霞「……!天照大神様!!どうなさいました!?」

と、声を震わせながら、驚いていた。

亜耶加「天照大神……!?は?どういうこと?」

朔耶「母上、朝霞は驚いて、亜耶加は状況がわからないって顔してるぞよ?」

くすりと、不敵な笑みを浮かべ、天照大神を見ながら朔耶が言った。

天照「無理もない。いきなり現れて、天照大神って紹介を受けたらそれは驚くに決まっておろう。」

ほほほ、と優雅に口元を隠しながら笑った天照様は、何の動きであっても優雅で、綺麗で美しくて、神々しさがあふれてて……。
どんな神がいてもどんなに神が集まっても、太刀打ちできないほどの素晴らしさが、全身からあふれていた。
神々しい、という言葉はこの人のためにあるようなものだと思った。

亜耶加「は……初めまして。え、と……明王寺亜耶加です。どうぞよろしく……。」

天照「なんと礼儀正しい。わらわの名は天照。朔耶の母じゃ。朔耶をよろしゅうな。」

自己紹介すると、褒められた。神様に褒められると、何だろう……。うれしいような、なんだろうか……っていう気持ちになる。

朝霞「して、天照大神様はなぜここへ?」

天照「いや、今まで全くやる気のなかった朔耶が、やる気を出して率先して歴史を改変しようとしているのが珍しくてな。そんな風にさせた相手は誰だと思ってな。ただの興味じゃよ。」

と、面白いものでも見るように朔耶をみやり、くすりと笑いながらそう答えた。
当の本人は、ばつが悪そうにしながら照れていて、そっぽを向いてしまった。