4階の一番端にあるクラスが5組なので、迷いもせずにスタスタとクラスへと歩いて行く。


ガラッとドアを開ければきっとみんなはこちらを向くと思うから、うしろのドアから気付かれないように静かに入った。



私の名前は、桜井 花菜(さくらい はな)。
お花だらけの名前だけど、こんな性格でお花なんて恥ずかしい、と常に思っている。



私の席は、教卓の目の前の席。
最初から一番前はきつい…。
悲しみながら席に座った。



「ねぇ、お名前なんていうの?」


「え!?」


びっくりした。
隣りの席の子が私に話しかけてきてくれた。


「こうゆうのって自分からってゆーやつ?じゃあ、私は永瀬 由梨(ながせ ゆり)。よろしくね。」


「あ…えっと、桜井 花菜です。」


「名前までかわいいね。てかめっちゃかわいいね!」


「いや……その、そんなことはないです。」


そんなはずはない。