貴方を失って初めての夏がきました。
貴方を失った悲しみは大きい。
だけどわたしが一歩踏み出すために貴方に手紙を書こうと思います。


蓮へ

わたしが初めて蓮に出会った中庭での出来事、覚えていますか?
はじめはなにも喋れなかったけど、本当は一目見た途端に貴方のことが好きでした。
人をひきつけるような目、美しい心、どれもこれも眩しいくらい貴方は輝いていました。
それは、今も変わりません。
わたしの心に貴方は光をさしてくれました。
どんなに辛い過去があっても貴方はわたしを受け入れ、支えてくれました。
貴方だって病魔と戦って辛かったのだろうに。
それでも、いくら年月が経とうと貴方を失った悲しみは計り知れないくらい大きいです。
本当のことを言えば、わたしをおいていかないでほしかった。
ひとりにしないでほしかった。
貴方と最期の時間を過ごした中庭のベンチ。
ベンチで貴方と寄り添っていたときはとてもしあわせでした。
貴方が旅立つとき、わたしはそばにいれた、それだけでしあわせでした。
わたしは神様を恨んだこともあります。
どうして貴方とわたしを引き裂くのかと。
私たちがほしかったもの、
それはただ一つ「時間」です。
だから、神様に時間がほしいと願ったこともあります。
でも、時間がなかったぶん、貴方とわたしは一分一秒をかみしめて過ごせました。
神様は乗り越えられる試練しか与えないといいます。
貴方とわたしは私たちなりに乗り越えられたと思います。
なので、神様には感謝しています。
私たちにかけがえのない時間をくれて。
貴方もそう思っているんじゃない?蓮。


わたしがそっちの世界にいくまで待っててくれますか?
そしてわたしは貴方にこの言葉を伝えたい。
『生まれ変わる、その日まで。』
生まれ変わったら、わたしはまた貴方に出会いたい。
そして今度こそ一年ではなくてもっと長い間共にときを過ごしたいです。
神様もそれくらい許してくれるよね!
貴方はわたしの心の中で生き続けています。
蓮、わたしに幸せをくれてありがとう。