「そんなことない。
麻衣はずっとそんな辛い過去を背負って生きてきたんだ。
もう、二人で背負ってもいいころだ。
次は俺が話すばんだな。
落ち着いて聞いて欲しい。
麻衣に重度の心臓病だってことは言ったよな。
この間、医者に余命宣告された。
俺の命はもってあと10ヶ月だそうだ。
成長していくにつれ、少しずつ心臓が弱ってきていたのは薄々俺自身も気づいていた。
前より疲れやすくなったし、今はあまり動き回れない。
ただ、10ヶ月しかないとはな〜ははっ。
麻衣ともう少しそばにいたかったし、いろんなところに連れてってやりたかった。
いろんなものを見せてやりたかったし、いずれは二人で結婚式もあげたかった。
神様はどうして俺を選んだんだろうな。
せっかく、麻衣と幸せになれたのに。
麻衣、泣かないで。」
あっ、そうか。
みーちゃんが曇った表情をしたのはそういうことか。
今のわたしは感情がないもぬけの殻。
「あれっ?
何でだろう?
涙がでてきちゃう。
わたしが泣いたら蓮が悲しむから泣かないって決めてたのに。
どうしてだろう。蓮。
涙がとまんない…」
「麻衣、ごめんな。
本当にごめん。
辛いおもいさせて。
だからな、俺考えたんだ。
麻衣、別れよう。
今のまま付き合ってても俺は麻衣より多分先に死ぬ。
麻衣は過去に加え、また辛いことを背負うことになる。
そんなことに俺はなってほしくない。
そうなるんだったらいっそのこと今別れたほうがいい。
だから麻衣、別れよう。」
「絶対にいや。
だいたい蓮が死ぬなんていつきまったの?
そんなの先生が勝手に決めたことでしょ!
わたしはそんなこと信じない!
それに、今言ったでしょ?
二人でなら背負っていけるって。
一緒に頑張ろうよ。
わたしは蓮がいないと生きていけない。
だからお願い!」
「……麻衣。
本当にそれでいいのか?」
「いいにきまってる。」
「なら、今までどうりもう一度俺と付き合ってください。」
「お願いします。」
わたしはどんなことがあっても蓮を支えていく。
わたしが蓮にできることはそれしかない。
神様、
どうか蓮を助けてください。
お願いします。

