「ねぇ、蓮。
蓮も私も秘密をかかえているよね。
今話して二人で背負っていこうよ。
お互いに秘密をかかえるのは辛いこと。
蓮となら背負っていける。」

「分かった。
そうしよう。
今まで一人でお互いに頑張ってきた。
もう、一人で背負う必要はない。
二人で背負っていこう。
どんなに辛い秘密でもだ。」

「じゃあ、わたしから。
わたしの秘密は過去のこと。
初めてさ、蓮に会ったときのこと覚えてる?
わたし全然蓮と喋れなかったでしょ。
あの原因がわたしの過去。
小学校の頃ね、近所で優しいおにいさんがいたの。
優しくて、笑顔が素敵で、でもどこか抜けてて。
わたしはその人をとしの離れたお兄ちゃんとして好きだった。
お兄ちゃんはいろんなところに連れてってくれた。
わたしも、わたしの家族もそんなお兄ちゃんを信用しきってた。
だからあの日、お兄ちゃんについていった。
だけどお兄ちゃんはいい人なんかじゃなかった。
沢山の男の人に囲まれて、触られて、ジロジロ見られて。
叫んでもお兄ちゃんは助けてくれなかった。
そして、犯された。
お兄ちゃんはわたしを好きだった。
それは恋愛感情として。
それからは家族や病院の先生たち以外の知らない人はみんなあの男たちに見えてきて、外に出れなくなった。
蓮と初めて会ったあのとき、空をみて辛そうな顔をしているって言ったでしょ?
あれはあの時を思い出してしまったから。
一人になると鮮明に蘇ってきてしまうの。
そして空を見ていたのは、わたしも雲のようにながされたいと思ったから。
これがわたしの過去の秘密
ひいちゃったよね。
今まで言わなかったのは、大好きな蓮にひかれるのが怖かったから。」