大好きなキミの姿

「今日は全員水吹きなー」

授業も終わり、今は掃除の時間。

先生がみんなに水吹きをしろと呼びかけていた。


私達が入学してから早一週間が過ぎ、もう最初の緊張した雰囲気は教室にはない。

「ぞうきん濡らしに行こー」

「あ、うん」

掃除の分担が一緒の友達と水道までぞうきんを濡らしに行く。

私達のクラスだけじゃなく他のクラスも水吹きらしく水道には列が出来ていた。

とりあえず空いた1番端のところを使う。


するとなにやらすぐ隣でぞうきんを濡らす男子がこっちを見ている気がしてちらっと振り向く。




ゆ、勇貴くん…!?

なんで私を見てる!?


ドキドキドキドキ…

勇貴くんに見つめられ心臓がもうやばい。



しばらく勇貴くんと見つめ合ってる間私はもう頭が真っ白になりパニック状態だ。

「どーも」

そして少し笑みを浮かべた勇貴くんに一言挨拶される。

「ど、どうも…」

一応挨拶をしてみたがやはりパニック。

なんで私のこと見てた?

なんで挨拶してきた?

え、私のこと覚えてるの??

数々の疑問が頭によぎる。

鳴り止まない心臓のドキドキを抑えながら冷静をたもち教室へ戻る。

「あれ、顔赤くねー?」

たまたま私の目の前にいたまいがつっこんでくる。

「なに?なにかあったの?」

口元のニヤケを抑えきれてないまいが必死に私に聞いてくる。

「………」

まいに言おうか言わないか迷っているせいか両方共沈黙し、奇妙な空気が流れる。

「あのさ。勇貴くんて何組…?」

そしてやっと出た言葉がこれだった。

なぜ私は聞いたんだろう。

「2組だよ、やっぱ勇貴くんとなんかあったんだ?」

やっぱりまいは想像がついてたみたい。

もう言った方がいいよね。






「え、まじ?」

私はまいに事情を話し、それを聞いたまいはちょっと嬉しそうに肩を揺らした。

「あっきーのこと覚えてるんじゃない?」

よかったじゃん、と私の肩を叩く。

よかった?

まぁ、忘れられるよりはマシだけどさ…。