「そうだ、そうだ、…」

話を弾ませてる最中に、急に父が
思い出したように鞄の中を探しだした。


「どうしたの?お父さん、」

「…いや、下関君にな、頼まれてたものが…、あったあった!」

取り出したのは何かのチケットっぽかった。

「あ!とれたんですか?!」

「ああ、うちの会社のアイスホッケーの試合のな」

父がチケットを手渡すと
下関さんは少年のように目を輝かせて
しばらくそのチケットを見ていた。

「君も珍しいなぁ、あまり周りにいないだろ?」

「そうなんですよね、いつも一人で観に行ってます。」

「ちょうどいい!今日、由紀も連れてってくれないか?」

「…は?!何言ってんの、お父さん?!」

「いいじゃないか、お前最近休日も家に籠りっきりらしいじゃないか。」

「…っう、でも!急に一緒になんて御迷惑だから…!」

「そんなことないですよ、
今日これからどうですか?」

「おお、下関君、よろしく頼むよ!」

父と母はニコニコしながら
完全に送り出す雰囲気だった。

…完全に断る雰囲気ではなくなっていた。

3人の笑顔の前に私は
力なく笑顔で頷くしかなかった。