「…あの、すみません。泊めていただいたみたいで…」

下関さんはちらりと私を見ると

「家に送ろうと思ったんですけど…
家もわからないし、実家に送るのも…と思って。」

それだけ言うと、また小さく欠伸をした。


よく知らない人の家にいるのは居心地が悪かった。


"よく知らない"という理由だけでは
無い気もしたけれど…


「…ありがとうございました。
…私、もう失礼します。」


そう言って立ち上がろうとしたら
まだ掴まれたままの手首に少し力がはいったのが伝わってきた。


「…あの、なに…」


「昨日!…っのこと…覚えてますか?」


…?


私が何も言わずにいると
ベッドの上であぐらをかいていたのに
急に正座をしだした。


「…あの、ごめんなさい私、」


言いかけた瞬間にそれを制止するように
待って、というように手を口の前辺りで広げられた。


…?


下関さんは下を向いて頭を掻くような仕草をすると、
私の目を真っ直ぐ見た。


「?…あの、下関さん?」