一度部屋に戻った彼は
ビニール傘を1本持って現れた。

「…すみません、傘1本しかなくて…」

幸い、外はパラパラと小雨が降る程度だったので
私達は1本の傘でお店に向かった。


5分ほど歩くと、小造りな2階建ての
赤提灯をぶら下げたお店が見えてきた。


「ここ、2階が落ち着いた造りになってて、お気に入りなんです。」


彼の様子から、良く出入りしている感じがわかった。


店内に入ると、思ったより落ち着いた雰囲気で
隠れ家的なシンプルなお洒落さがあった。


下関さんは店員に席を確認すると、
店員は慣れたようにすぐに2階へと誘導してくれた。


2階は3席程の丸テーブルがあり、
窓際は障子を貼った格子窓になっていて
なんだか旅館に来たみたいな気分だった。