頭が真っ白になった。 奥様かお子さん? どちらかを選べば選ばなかった方はどうなる? 二人とも助けられないのか? そんなことを脳裏でぐるぐる考えていると 意識朦朧としている彼女が口を開いた。 「…子供をお願いします」 医者がそれを聞き、俺に確認しようとしたが彼女はそれを止めた。 「いいんです。お願いします」 俺はただ立ちつくすことしかできなかった。 彼女はそんな俺を手招きして耳元で小さく呟いた。