黒髪の少し癖のある髪が 初夏の風になびく。 「……」 「……」 一瞬、時が止まったような感覚。 「ユナぁ、何してんの?行くよー」 「っ、」 「っ!あっ、うんっ!」 急に聞こえてくるポッチャリの声にどきりとした途端、ユナと呼ばれた女が俺の横を頭を下げながら通り過ぎる。 「ユナ……」 俺は、女が小走りに通っていった廊下を 静かに眺めていた。