好き。それだけじゃ、ダメ?


「はあ、痛…」


思っていたより足は痛かった。


ここの学校の保健室は1階にある。


普通に考えれば近い距離にあるはずなのだが、校舎の造りは複雑に出来ていた。


おかげで2階から遠回りして保健室に行くことになる。


「めんどくさい…」


バスケを抜けられたのは嬉しいが、これはこれで辛かった。


怪我をしていなければ問題はなかっただろう。もっと楽に階段を昇れたはずだ。


「もー、ぶつかってきたの誰…?」


ぶつぶつと文句を言いつつも階段を一段一段上がる。


ピ────


突然聞こえる笛の音。


ここの階段を登ったところには、体育館がある。


「あ、そっか…」


今日の球技大会は女子は勿論、男子もやっている。


女子がバスケで男子は、バレー……だったはず。


「バレーかあ」


確かうちのクラスにはバレー部は…いたかな。



バレーとか得意じゃないんだよね。


まず運動自体嫌い。


かといって勉強はできないし…。


「すげえじゃん!!柊哉!!」


シューヤ


シュウヤ…?


初めて聞く、名前。


わたしは好奇心に勝てず体育館の扉を軽く開けた。


ちらっと中を除く。


当たり前だけど中には男子のみ。

今は休憩時間のようで一部の男子は休んでいた。


同じクラスには シュウヤ なんて名前の人はいない。

中3のクラスは全部で5つ。


この中からシュウヤくんを見つけ出すのは難しそうな話だ。