Is you is or is you ain't my baby?

「へえ、大切にされているんだね」

北大路はコーヒーを口に含んだ。

「そんな、とんでもないです。

正直なところ、私としては早く自立をしたいんです。

通っていた学校も、今やっている仕事も、全て父に決められたんです。

もう今年で私も30歳を迎えますから、早く自立をしたいなと」

英恵はハッと我に返った様子を見せると、
「すみません、私ったら…」

北大路に謝った。

「いや、いいんだよ。

とてもすばらしい考えの持ち主だと、僕は思うよ」

北大路は微笑んだ。

「あの、笑わないんですか?」

そう聞いた英恵に、
「どうして笑わないといけないの?

立派なことじゃないか」

北大路は言い返した。