Is you is or is you ain't my baby?

「そうなんですか。

じゃあ、僕はこれで」

そう言って椅子から腰をあげようとした北大路に、
「えっ、もう帰られるのですか?」

小梅は引き止めようとした。

「せっかくの姪っ子さんとの時間を邪魔する訳にはいかないから」

笑いながら言った北大路に、
「じゃあ、今週の金曜日にまた」

小梅は言った。

「はい、では」

北大路は会釈をすると、椅子から腰をあげた。

「コーヒーは私が奢ります」

「ありがとうございます。

では、また金曜日にお会いしましょう」

北大路は喫茶店を後にした。

小梅は彼の後ろ姿を見送ると、それまでテーブルのうえに置いていた文庫本を開いた。