北大路とカップルになった数日後に、父親が証拠不十分で不起訴になったと言う連絡を北大路から受けた。

「あたし、家族に会いに行きます」

そう言った櫻子に、
「僕も付き添うよ。

こう言うのは第3者がいた方がいいと思う」

北大路は答えたのだった。


『北大路クリニック』の定休日である水曜日、櫻子は北大路と一緒に久しぶりに実家を訪ねた。

実家の前にはマスコミはいなかったが、玄関先の誹謗中傷の落書きはそのままだった。

久しぶりの実家に、櫻子はチャイムを押すことをためらっていた。

「大丈夫だよ」

そんな櫻子に、北大路が声をかけた。

「アッキーはもう1人じゃないよ。

僕も一緒に謝ってあげるから」

微笑みながらそう言った北大路に、櫻子はようやくチャイムを押したのだった。