「危うく忘れるところだったね」

笑いながら言った小梅に、
「ああ、本当にな」

藤本は言った。

「じゃ、少し寄り道してから帰るとするかな」

藤本はそう呟いた後、小梅の前に手を差し出した。

小梅は藤本と彼の手を交互に見つめると、
「…これは、どう言うことなんだい?」
と、藤本に聞いた。

「どう言うことって、手を繋ぐに決まってるじゃんか」

照れくさそうに顔を紅くして言った藤本に、
「ああ、そう言うことか」

小梅は納得したと言うように笑った後、差し出された手を繋いだ。

「大きな手だね」

そう言った小梅に、
「お前の手が小さ過ぎるのもどうかと思うよ」

藤本は言い返した。

2人で手を繋いで、まだ明るい空の下を歩いた。