この商売に手を出したのは、17歳の時だった。

それから7年経った今は、年収500億円を稼ぐほどの実力である。

櫻子はパソコンを閉じると、その横に置いてあったスマートフォンを手に取った。

「どうしよっかなー…」

手の中でスマートフォンを弄びながら、櫻子は呟いた。

先日、何となく入ったバーで5人の男女と出会った。

その店のバーテンダーのせいで、櫻子はある展開に巻き込まれることになった。

それは、“半年間で素敵な恋をする”と言うものである。

5人の空気に飲み込まれるように、櫻子はその提案に参加をするはめになってしまったと言う訳である。

(まあ、多少のヒマ潰しにはなるかも知れないけれど)

櫻子は心の中で呟いた後、息を吐いた。