すっかり温かくなった4月の陽気に、藤本はあくびをした。

今日は櫻子と一緒に映画を見に行くため、駅前で彼女がくるのを待っていた。

「もうそろそろか…」

スマートフォンで時間の確認をすると、約束の時間まで後5分だった。

「お待たせしました」

その声に視線を向けると、櫻子だった。

「ああ、おはよう」

あいさつをすると、
「おはようございます」

返事が返ってきた。

「じゃあ、行くか」

「ええ、行きましょう」

藤本と櫻子は映画館の方へと足を向かわせた。