受付嬢は思いついたと言う顔をすると、
「2階でお待ちください。

すぐに院長をお呼びします」

櫻子にそう言った後、近くにあった電話機を手に取った。

「はい、わかりました」

櫻子は返事をすると、2階へと続く階段をのぼった。

心療内科と言えば、何となく無機質な感じを想像していた。

櫻子はソファーに腰を下ろすと、首を動かして室内を見回した。

癒されるや落ち着くと言った方が正しいのだろうか?

白と茶色を基調とした温かみのあるその空間に、櫻子は緊張していた心が落ち着いて行くのを感じた。

「檍櫻子さん」

目の前に北大路が現れた。

当たり前だが、彼は白衣を身に着けていた。