「勘弁してくださいな」

京極は苦笑いをした。

どこか妖しい魅力を持っている小梅だが、人をからかうのが好きと言うサディストなところがあるようだ。

若菜とはまるで正反対だと、京極は思った。

(俺はマゾじゃないと言いたい)

京極は心の中で呟くと、カレーを口に入れた。

小梅の方にチラリと視線を向けると、彼女もカレーを口に入れていた。

食べ方がとても上品だ。

見ているだけでもその気にされてしまうような気がして、京極は彼女から目をそらすとカレーを口に入れた。

(見てるだけだぞ、見てるだけ)

サディストなところがある小梅に振り回されるのも悪くはないかも知れないと、京極はそんなことを思った。