「素敵なお店ですね。

わたし、こう言うところにくるのは初めてなんです」

そう言った英恵に、
「えっ、そうなんですか?」

藤本は驚いて聞き返した。

「普段はあまり家を出ることがありませんから」

英恵はフフッと笑った。

ああ、そういう意味で言ったのか。

てっきり、飲食店自体にきたことがないのかと思ってしまった。

「駅の近くにこんなお店があったなんて知らなかったな。

またきてもいいですか?

とても気に入りました」

「はい、いつでもお待ちしています」

楽しそうに笑った英恵に、藤本は笑いながら会釈をした。