藤本は呆れると、
「いろいろと事情があるんだよ」
と、言った。

「全く答えになってない…」

がっかりとした様子の武人と翼を無視すると、藤本はお盆のうえにできたてのペペロンチーノとジントニックを置いた。

「じゃ、俺が届けに行ってくる」

藤本は厨房を後にすると、スマートフォンを見ている英恵の席へと歩み寄った。

「お待たせしました。

ペペロンチーノとジントニックです」

英恵の前に注文した2つを置いた。

「ありがとうございます」

英恵はお礼を言うと、フォークを手に取った。

ペペロンチーノを口に入れると、
「美味しいです」

嬉しそうに微笑んだ。

その笑顔に、藤本は嬉しくなった。