「唯!おはよーっ!」

「沙也加、おはよう。」

「唯、昨日大丈夫だった?講義受けてる途中、不安そうな顔して出てったでしょ?」

「あー、実は直樹と別れた!講義中に呼び出されて、もしかして別れ話かな?って思ってたらやっぱりそうだったよ!」

わざと明るく気にしてないように伝えたつもりだけど、そんなことは沙也加には通用しなかった。

「唯ー?無理しちゃ駄目!今無理しています。って顔に出てるよ!今日の帰り、話聞くからどっか行こ?」

「うん、ありがとう沙也加。」

ちゃんと授業を聞いてるつもりでも、内容が全く入ってこない。そんな時間を過ごしているとあっという間に授業も終わっていた。

「んーー!終わったぁ!☆唯、喫茶店行こうよ!」

「うん!行こ行こ〜。」

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「直樹くん、浮気してたってこと?」

「確信的な証拠はないけど、わたしにはもう直樹の心は向いてないって分かってたから…。」

「唯、大丈夫?…合コン行く?!」

「沙也加。」

わたしが少し怒った顔してそう言うと、ごめんごめんって可愛い顔して謝ってくる沙也加。

「沙也加、話聞いてくれてありがとう。少し軽くなったよ。」

「さやがいつでもついてるから!早く忘れて元気になってよー?唯は笑顔が一番だよ!☆」

「うん…ありがとう!」

沙也加のおかげで少し元気になれた気がした。沙也加には今度、何かお礼しないとな。

そのあと沙也加と別れて、家に着く。

------ピーンポーン
「…はーいっ!」

「唯!ご飯食べに来た!」

そう言ってやって来たのは海斗。

「もう!わたしが隣に住んでること知ったらすぐそれ!?」

「えー、だって唯、料理上手いし!」

「嘘つき!わたしの料理、食べたことないでしょー!」

「一回だけあるよ。中学ん時、唯のお弁当に入ってた卵焼き食べた。あれ、うまかったな〜♪」

わざとらしく言う海斗が可愛く見えて結局わたしが折れた。

「調子いいんだから!」

「そう言いながらも唯は作ってくれるんだろー?昔から優しいもんなー。」

なんだか照れくさくてカレー作りに取り掛かる。今日は隠し味にすりリンゴでも入れようかな。

「うまー!何これ!?唯!これ、本当に唯が作った?!」

「当たり前でしょー?わたしが慌ただしく作ったの見てたじゃん。」

「料理学んでる俺でもこんなに美味しく作れないわ〜。」

リョウリマナンデル?え。ちょっとまてちょっとまてお兄さん。

「海斗、もしかして大学…。」

「あれ?言ってなかったっけ?一流の料理人目指して大学で勉強中!」

おでこに手を当てて敬礼ポーズをとる海斗。

「ねえ。本格的に料理を学んでる海斗と、一般的な知識しかないわたしの料理。どっちが美味しく作れるか目に見えてるよね?」

「うん。そりゃあ、俺でしょ!」

何言ってんだよ唯〜って笑いながら肩を叩いてくる。うん、普通にムカつくよねコイツ。

「じゃあなんでわたしにっ「唯の作る料理はなんて言うかな〜。俺には出せない愛のこもった料理なんだよな。」

うんうんって一人で納得する海斗だけど、わたしには全く理解できない。
小さい頃にお母さんを失くして、お父さんと妹のために料理は頑張ってきた。だけど、さすがに料理を学ぶ海斗とは差がありすぎるでしょ?

「ごちそうさま!唯!また食べにくるからな!じゃっ!」

「はぁーーー?!」

また食べにくるだと?!食い逃げ?わたしに恥をさらしに来た?なに?!
…でも、海斗が来てくれたおかげで寂しくなかったっていうのも事実。一応感謝しなきゃね。

「うん、美味しい。」

自分で作ったカレーをテレビを見ながら一人で食べ、眠りについた。