【短編】ボタンと珈琲




それからの日々は、意外と普通だった。

朝起きて、珈琲を淹れて、前の日に買ったパンを頬張って、歯を磨いて、出社する。


恋ってこんなもんだったっけ。


いつもの生活を過ごしながら昔の恋を思い出しても、よくわからなかった。

でも、毎晩寝る時に目に入るワンピースのせいでたまに寝れなかったりして。


「…ああ、もうハッキリさせたいから会いに行ってしまえ」


やっとその結論に至ったとき、ワンピースを買ってから一ヶ月も経っていた。