今日1日に満足して、駅に向かおうとお辞儀をしたときだった。


「…あのっ」


彼が、バッと顔を上げてわたしを見つめた。


「……はい」


車のライトがキラキラと光る。

ふわっと風が吹いて珈琲の香りがする。



「…次のお休みの日に、珈琲一緒に、いかがですか…?」



たくさん瞬きをするわたし。


すこし頬が赤い気がする彼。


これは。



「……はい、ぜひ!」



うしろのボタンが背中に当たって火照る体を冷やす。


恋を、しました。
ひさしぶりに。

明日からも仕事をがんばれそう。



【完】