【短編】ボタンと珈琲




ななめ前からわたしの背中に手をかけるから、ものすごく距離が近くて


顔にぜんぶの血が巡ってきたような感覚。


「……っあ、すいません…」


わたしの顔を見て、彼も気付いたのかパッと離れる。


…目も合わせられない。


「「…………」」


何か言わなきゃと思っても何も思いつかなくて、ぎゅっと紙袋の持ち手を握る。


触れられた背中がむずがゆくて

払われた髪からほんのりコーヒーの香りがして


『たぶん、だけど、寒くなるまでに会えると思うよ』


マスターの声が頭に浮かぶ。