【短編】ボタンと珈琲




その言葉に彼が驚いた顔をしているのを見て、ハッと気づく。


何言ってるんだわたし!

我に返ってとても恥ずかしくなって思わず視線を落とした。


だけど彼は、すぐに笑って


「ああ、覚えていますよ!ボタン、かけ間違ってたんですよね」

と、告げる。


やっぱり優しい人だな、と顔を上げた瞬間だった。


「ーー…」


彼が一歩、近付いて。


「今日は掛け違えてませんか?」


わたしの髪をそっとはらって、背中のボタンに触れた。