【短編】ボタンと珈琲




「ーー外までお持ちしますね」


結局、彼にオススメされてしまったら買わずにいられなくて、コートはお買い上げ。

来月節約しよう…。


お店の外で、彼から大きな紙袋を受け取る。


「……あの…」


彼が紙袋から手を離したとき、まだ離れたくないと思って。

思わず声をかけてしまった。


「…また、買いにきてもいいですか」

「それはとても嬉しいです。お待ちしています」


おそらくどのお客さんにも言ってるであろう言葉にすこし寂しくなる。


どうか、特別な客になれないだろうか。

ーーどうか、特別な関係になれないだろうか。


そう思った時には、


「あの、ワンピース試着した時にボタン留めてもらったの…覚えてますか……?」


考えるより先に言葉が出ていた。