【短編】ボタンと珈琲




わたしの言葉を聞いて嬉しそうに笑った彼。


「そうなんですね。気に入って頂けて、お礼まで言ってくださるなんてとても嬉しいです」


…わたしもお会いできて嬉しいです。


なんて、口が裂けても言えないけど。


「…そうだ。ひとつ、お客様に見て欲しい新作があるんです」


そう言って、綺麗にハンガーに掛けられた服の中からひとつのコートが彼によって選ばれる。


綺麗な緑のロングコート。


「…綺麗ですね」


わたしの一言に、「でしょう?」と笑って、素材や形の説明をしてくれる。


「…でもね、一番のオススメポイントは、そのワンピースに似合うところです」


そう言って、わたしの前にすっと当てるように差し出されたコート。

というか、首元にかかる、彼の手。


……いい匂い。


って、変態か、わたしは。