【短編】ボタンと珈琲




「今日はお買い物ですか?」


ニコッと笑ってわたしを見つめる彼。


目の前で彼が笑ってわたしに話しかけている。

とくん、と胸がなって、体が熱くなる、久しぶりの感覚。



「買い物、というか…その……」


貴方にワンピースを見せに来たんです。

なんて言ったら、困るだろうか。


「ワンピースのお礼を、言いに来ました」


彼が困るんじゃないか、なんて嘘。

わたしにはこれが精一杯の台詞だっただけだ。