【短編】ボタンと珈琲





「戻ってきてくださったんですね」


ファーティペットの女の子が可愛く笑う。

だけど、わたしが真剣な顔で彼女を見つめ返すものだから、彼女も不思議そうな顔になっていた。


「……、あのですね、えっと…」


言いたいんだ。

あの人はいつ出勤されますか?


一言、聞くだけなのに言葉が出ない。

初恋でもないのにこんなに戸惑うなんて。


「何かお探しですか?忘れ物とか…?」


ああ、違うんです。

探してはいるけどモノとかではなくて。


さっきから口は動くのに声が出ない。