この日、あたしは人生で初めて、"失恋"というものの味を知った。

(ガタン、ガタタン)

帰り道の電車の中、あたしは頭の中が真っ白になったまま、ただぼーっと外を見ているだけだった。


はあ…。


思い出すだけで辛くなる。

あんなに好きだったのになぁ。

こんなことになるくらいなら告白なんかしなきゃよかったなぁ。


「ね……ぇ。水…瀬さ…ん」


はあ…。

泣きたい…。

あたしは手に持っていたタオルで顔を覆った。

泣いてる顔なんて周りの人に見られたくない。




「ねぇ、水瀬さん?」