「雅人、久しぶり…」



沙紀の声。あの懐かしい声だった。


俺はクッと目に力を入れた。
眉間にしわをよせた。



「行くぞ、由希乃」



俺は沙紀の声を無視した。
もう思い出したくない。

人にさんざん迷惑をかけた最低な女。
こんな奴とはもう会いたくなかった。



「んも~、待ってよ、雅人くん!沙紀と何かあるの?」



「…何もねえよ、べつに。」



「ねえ雅人くん…それじゃ私…」