「とりあえず雅人くん、今日はもう帰っていいんだよ。お母さんもかなり具合を悪くされているのだろう?」
「はい…ちょっと貧血らしくて。」
「もう会いに来てもらわなくても構わないから。別れたんだ、もう」
「…はい。」
俺はそう返事して、病室を出た。
もう俺は、俺になった。
俺は沙紀のものじゃない。
沙紀は俺のものじゃない。
元カノと元カレだ。
もう、その名が使われる。
彼女だ彼氏だ。
そんなの、もう昔のことになったのだ。
ありがとう、沙紀。
さよなら、沙紀。
母さんと休憩室で合流し、家に帰る。
「別れてよかったわ、雅人。」
「もう元カノ元カレだから。」
「ええ。そうね。」
母さんはにっこりほほ笑んだ。あの優しい顔だ。


