「この度は、うちの沙紀がご迷惑をおかけしました。すみませんでした。」
沙紀の父親が、頭を下げた。
冷房の効いた、涼しい病室で。
「いや、こちらも…止め切れずすみませんでした。」
俺も頭を下げた。
俺が悪いのだから。
「…雅人は悪くないの。」
意識を取り戻した沙紀がそう呟いた。
俺はムッとした。
別れるはずなのにここまで面倒を見る羽目になったのは、お前が勝手に死ぬなんて言い出したからだ。
「沙紀。雅人くんとは別れなさい。」
「…でもいい人なの。とっても優しいし、とっても愛してくれてた。」
「いい人だからこそ別れるんだ。お前といてはいけない。」
冷たい父親だと思った。
俺のためとは言え、沙紀に厳しすぎるんじゃないか。
ふと可哀そうに思ったが、俺は俺。沙紀は沙紀。
そこは冷静に。


