雅人。


雅人に出会ったのは入学式だった。
私みたいな田舎者、きっと笑われ者だって思っていた。
でも、みんな優しくて、いい人だった。

雅人が消しゴムを拾ってくれたあの日。
私は雅人の笑顔に、心魅かれた。


絶対に逃がしたくない。
そう思った恋だった。



「好きだなぁ」



私みたいにおとなしいわけでもない。
普通の男子だった雅人。
でも、そんな普通だからこその雅人が好き。



「なんでもないような君が好き」



心の中で呟いた。
何度も何度も君を想った。

そんなある日、好きと伝えた。
雨が降っていたあの日、雅人に。