✱✱✱ 時雨side
「父さんは、父さんは...っ。」
猫たちの話を聞いたとき、羨ましくなった。
そして雫の大きな温かさに涙が止まらなくなった。
「父さんは...俺と最低限度関わらなくなった。」
雫は言葉に詰まる俺を抱き寄せて顔を見ないようにしてくれた。
その優しさがまた俺の涙腺を刺激した。
「俺が、産まれてこなければよかったんだ。」
あれは、11年前。
俺がまだ小学校に上がったばかりの頃。
母さんは優しくて包容力があり誰からも好かれる人。
父さんは知的で面白さもあり誰からも頼りにされる人。
そしてその二人の間に生まれた俺の三人暮らしだった。

