『...どうしたの?』


なんで声をかけたのかもわからない。


雨に濡れているのも気にせずベンチに座ってるキミに後ろから声をかけた。


ビクリと肩を揺らし振り向いたキミ。


雨で濡れた前髪の隙間から鋭く冷たい瞳があたしをとらえた。


「......だれ。」


心地いい低音が耳に響いた。


『...あたしは雛森 雫(ヒナモリ シズク)。...キミは?』


「...新橋 時雨(シンバシ シグレ)。」


時雨...。心の中で呼んでみた。


『こんなとこで何してるの?』


手に持っていた傘を時雨くんの方に傾けて尋ねた。