女は床に座るとドライヤーを取り出して乾かし始めた。


それを見た俺はなんだか無性に髪を触りたくなって


女の手の上からドライヤーを握った。


『え?』


女はびっくりしたようにこっちを振り向いてドライヤーを切った。


「今日のお礼にアンタの髪、乾かしてあげるよ。」


すると、嬉しそうに笑って前を向いた。


『...じゃあもう、1つお礼が欲しいな。』


って言うから「なに?」って意味を込めながら首をかしげたら


「アンタじゃなくて...雫って呼んで?』


って、少し恥ずかしそうに上目遣いで俺の目を見た。