唯から聞いた話では、今人気急上昇中の『fruity』という雑誌に
俺の元カノの西野七瀬と、唯の親友の夏希って女が出てるということ。
そして七瀬はその雑誌のトップモデルで、七瀬と夏希は親友だということ。
でも七瀬は、俺と付き合ってた頃にモデルをやっているなんて一言も言っていなかった。
ただ、よく電話で呼ばれてどこかに行っていたからバイト熱心なのかと思ってたけど。

 ―何か複雑な関係でみんな繋がってるな…
そう考えてる俺の隣で唯はずっとモデルのことを話していた。

「お前、そんな詳しく話さなくていいよ…」
「だって、自慢したいじゃん」
「…別にいいけど」
「でもね、夏希もすごいんだよ? まだモデルになったばっかりなんだけど、七瀬ちゃんと表紙に出てた時もあったんだから」
「へー。すごいなー」
「棒読みなんだけど! 」
「だからどーでもいいんだって」
「すぐそういうこと言う! 」
また言い合いが始まるかと思っていたら…


「唯ー! 大地君ー! ご飯出来たわよー!! 」
1階からの唯のお母さんの声で、言い合いになることはなかった。

「やっとご飯かぁ…。お腹すいた! 行こ、大地♪」
「うん。」
「お母さん!出来上がるの遅いよぉ…」
「悪いわね。張り切ったから遅くなったのよ! 」
リビングに入ると共にいい匂いがした。
「さ、大地君も好きなだけ食べなさいね!! 」
「ありがとうございます。」