「そんな複雑そうな顔しないでよ。

私、夏野くんに言うつもりないから」




「え、なんで?」



「今言っても迷惑でしょ?野球の」






夢野はそう言って笑う。


・・・夢野はこうゆう子だ。

自分より相手を大切にする。


そんな子なんだ。




「・・・応援する」


「え?」

「応援するから」



「・・・ありがとう」




クスッと笑った夢野は少しだけ、泣きそうに見えた。




見えただけだし、なんでそんな風に思ったのか分からない。


けど、確かに泣きそうだった。