夢越しに君を見た夏




六番バッターのライト前ヒットで進塁。

逆転のランナーがでる。




七番のレフト越えの長打でまた1点返す。



・・・同点になった。




1アウト三塁。

三塁にいるランナーを返せば逆転勝ち。
返せなければ延長戦。





八番は、夏野だ。








みんな緊張で顔が強ばる。


吹部の音と野球部とチアの声が一段と大きくなる。



両手を握りしめ、みんなが祈る。





・・・あと一点。



お願い・・・!






相手のピッチャーが投げた一球目はストライクゾーンから大きく離れボール。



二球目。ピッチャーのモーションに合わせてみんなが大きく息を吸い込む




力づよく投げられたボールはまっすぐ夏野の方へ飛んでいく。




「夏野!!!!!」












ーーーカキーン!!



振り切った夏野が、



応援していたみんなが、




ピッチャーが、キャッチャーが





高く打ち上がったボールを見つめる。




センターが下がって下がって、バックスクリーンの前でボールを掴んだ瞬間





三塁ランナーが走り出す。







ウワァアアアアアア!!!



ワーっとわいた歓声に、みんな次々と喜んで抱きしめあう。




夏野の犠牲フライによる逆転勝ち。


スコアボードに3という数字がうつされた。




勢いよく整列し、校歌が流れる。



胸を張ってる野球部員たち。

晴れやかな顔で校歌を歌う全校生徒。












輝く校歌を、誰にも届かない声で歌った。