静かに夏野の方を見れば、誰と話すわけでもなく席で黙々と勉強してる。

部活で帰ってから時間がない分、学校でやる。



中学校の頃から夏野はそうだった。





「なんで、驚くのよ」


「いや、だって・・・」


吹奏楽一筋だとばかり思ってた夢野がまさかそんなことを言うと思ってなくて。





「私さー、夏野くんのこと好きなんだよね。

今まで言わなかったけど」



「え・・・そう、なの?」




「うん」







親友から落とされた急な爆弾発言に開いたままの口がさらに開く。



何も言えずに、ただ夢野を見つめる。





「いつ、から?」


「去年の夏くらい?かな。野球してるところが凄くカッコいいなって思ったんだ」


「へ、へぇ・・・」





上手い言葉が見つからない。







いいじゃん。


夢野は優しいし、気配り出来るし、誰とでも気軽に話せるし。

夏野が付き合うなら夢野みたいな子がいいって、ずっと思ってた。







・・・なのに、なんでこんなに苦しいんだろう。



なんで素直に喜べないんだろう。