「えっ?あっ、ううん、知らないよ。あたし、目覚めたの5時間目始まってからだったから」
「そっか…」
「あっ、お弁当は届けてくれたけど。それだけで、どっか行っちゃった」
「そうなんだ。なら、いいや」
彼女はあたしに、ニコッと笑顔を見せた。
聖羅ちゃんに、心配かけないでおこう。
でも、聖羅ちゃんは、相良くんの事になると、どうしてこんなにムキになるんだろう?
親しくして欲しくない、みたいな…。
……もしかして………!
「…ね、聖羅ちゃん」
「んー?」
「あのさ、前から気になってたんだけど…」
あたしは、少しの怖さを隠しながら、思い切って聖羅ちゃんに、尋ねてみた。
「聖羅ちゃん…、相良くんの事、好きなの…?」
「…………はぁ?」
聖羅ちゃんは、何故だかわけがわからないというような顔をして、あたしを見た。
その表情は、困惑してさえいた。
あたしの予想とは全く違う反応が返ってきて、若干面食らっている自分がいた。
え?え?違うの?
じゃあ、どうして、あんなに警戒するの?
「なんでそうなるわけ?」
この様子じゃ、ホントに、好きな訳ではなさそうだけど……。
「…だって、聖羅ちゃん、あたしと相良くんの仲、すごい、気にしてたから…」
「…………」
「友達だから、遠慮や、隠し事、して欲しく無かったの」
「大輪花……」
聖羅ちゃんが、あたしに近づき、ぎゅっとあたしを抱きしめた。
あたしは、びっくりしてしまい、両手が思わず宙を彷徨った。
「違うの!そんなつもりじゃなくて…。無神経でごめんね、大輪花。隠すとか、遠慮とか、そんなんじゃなくて……」
「聖羅は、小学校から相良と一緒だから、どんなヤツかよーく知ってるもんねぇ?だから、心配になっちゃったんだよねぇー?」
絵摩ちゃんが、いつもの笑顔に戻ってそう言った。
そこまで、あたしの事、心配してくれてるんだ……。
理由はどうあれ、あたしは、その事実が嬉しかった。
抱きしめられた両腕から、聖羅ちゃんの想いが、痛いほど伝わってきた。
「…ま、それもあるけど…。やっぱり言っとこうか。大輪花、聞いたら引くかなと思ってなかなか言えなかったんだけど」
重い口を開き、聖羅ちゃんが声を低めて話し始める。
「実はさ、中学ん時………」
そう言いかけた時、保健室の扉がガラッと開いた。
「あらっ。水島さんのお見舞い?」
しばらく席を外していた保健の先生が、戻ってきた。
「あっ、はい。もう下校なんで、カバン届けに来たんです」
「あらそう。水島さんは?もう大丈夫?歩けそう?」
「はい。帰りに病院に寄って帰るので、大丈夫です」
「そう。じゃあ、気を付けて帰るのよ」
あたしはベッドから抜け出し、絵摩ちゃんと聖羅ちゃんと一緒に、扉の前で一礼をして、保健室を後にした。
下駄箱に3人で向かう途中で、話を切り出したのは、聖羅ちゃんだった。
「さっきの話だけど、中途半端になっちゃったね。でも、今日は大輪花も用事あるから、また今度、ゆっくり話すよ」
「うん。いつでもいいよ」
聖羅ちゃんは、少し急いで下駄箱に向かった。
彼女なりの、照れ隠しに見えて、それが微笑ましかった。
こちらに背を向けて靴を取り出す聖羅ちゃんを見ながら、絵摩ちゃんがあたしにそっと耳打ちした。
「…聖羅ね、ああ見えて、実は、彼氏いるんだよ」
「ええっ?!」
「今は遠恋だけどね」
「そうなの?!」
絵摩ちゃんの突然の発言に、驚きを隠せず、思わず大声をあげてしまった。
「絵〜摩〜。何か言ったなぁ?」
「ううん。べつにぃ。ねっ、大輪花」
「あ、うん」
こんな時の絵摩ちゃんは、少しずるい。
その笑顔を向けられたら、許してしまうのもムリはない。
でも、あたしには、その事実がにわかに信じられなくて、ただただ驚いた。
「じゃあね、また明日ねぇ」
二人と手を振って玄関で別れ、あたしはその場に少し留まっていた。
時間を置いて、出るつもりで。
鉢合わせにならないようにしないと。
あと、3分経ったら、玄関を後にしよう。
時計を見ると、ちょうど、あと3分で3時半になろうとしていた。
「そっか…」
「あっ、お弁当は届けてくれたけど。それだけで、どっか行っちゃった」
「そうなんだ。なら、いいや」
彼女はあたしに、ニコッと笑顔を見せた。
聖羅ちゃんに、心配かけないでおこう。
でも、聖羅ちゃんは、相良くんの事になると、どうしてこんなにムキになるんだろう?
親しくして欲しくない、みたいな…。
……もしかして………!
「…ね、聖羅ちゃん」
「んー?」
「あのさ、前から気になってたんだけど…」
あたしは、少しの怖さを隠しながら、思い切って聖羅ちゃんに、尋ねてみた。
「聖羅ちゃん…、相良くんの事、好きなの…?」
「…………はぁ?」
聖羅ちゃんは、何故だかわけがわからないというような顔をして、あたしを見た。
その表情は、困惑してさえいた。
あたしの予想とは全く違う反応が返ってきて、若干面食らっている自分がいた。
え?え?違うの?
じゃあ、どうして、あんなに警戒するの?
「なんでそうなるわけ?」
この様子じゃ、ホントに、好きな訳ではなさそうだけど……。
「…だって、聖羅ちゃん、あたしと相良くんの仲、すごい、気にしてたから…」
「…………」
「友達だから、遠慮や、隠し事、して欲しく無かったの」
「大輪花……」
聖羅ちゃんが、あたしに近づき、ぎゅっとあたしを抱きしめた。
あたしは、びっくりしてしまい、両手が思わず宙を彷徨った。
「違うの!そんなつもりじゃなくて…。無神経でごめんね、大輪花。隠すとか、遠慮とか、そんなんじゃなくて……」
「聖羅は、小学校から相良と一緒だから、どんなヤツかよーく知ってるもんねぇ?だから、心配になっちゃったんだよねぇー?」
絵摩ちゃんが、いつもの笑顔に戻ってそう言った。
そこまで、あたしの事、心配してくれてるんだ……。
理由はどうあれ、あたしは、その事実が嬉しかった。
抱きしめられた両腕から、聖羅ちゃんの想いが、痛いほど伝わってきた。
「…ま、それもあるけど…。やっぱり言っとこうか。大輪花、聞いたら引くかなと思ってなかなか言えなかったんだけど」
重い口を開き、聖羅ちゃんが声を低めて話し始める。
「実はさ、中学ん時………」
そう言いかけた時、保健室の扉がガラッと開いた。
「あらっ。水島さんのお見舞い?」
しばらく席を外していた保健の先生が、戻ってきた。
「あっ、はい。もう下校なんで、カバン届けに来たんです」
「あらそう。水島さんは?もう大丈夫?歩けそう?」
「はい。帰りに病院に寄って帰るので、大丈夫です」
「そう。じゃあ、気を付けて帰るのよ」
あたしはベッドから抜け出し、絵摩ちゃんと聖羅ちゃんと一緒に、扉の前で一礼をして、保健室を後にした。
下駄箱に3人で向かう途中で、話を切り出したのは、聖羅ちゃんだった。
「さっきの話だけど、中途半端になっちゃったね。でも、今日は大輪花も用事あるから、また今度、ゆっくり話すよ」
「うん。いつでもいいよ」
聖羅ちゃんは、少し急いで下駄箱に向かった。
彼女なりの、照れ隠しに見えて、それが微笑ましかった。
こちらに背を向けて靴を取り出す聖羅ちゃんを見ながら、絵摩ちゃんがあたしにそっと耳打ちした。
「…聖羅ね、ああ見えて、実は、彼氏いるんだよ」
「ええっ?!」
「今は遠恋だけどね」
「そうなの?!」
絵摩ちゃんの突然の発言に、驚きを隠せず、思わず大声をあげてしまった。
「絵〜摩〜。何か言ったなぁ?」
「ううん。べつにぃ。ねっ、大輪花」
「あ、うん」
こんな時の絵摩ちゃんは、少しずるい。
その笑顔を向けられたら、許してしまうのもムリはない。
でも、あたしには、その事実がにわかに信じられなくて、ただただ驚いた。
「じゃあね、また明日ねぇ」
二人と手を振って玄関で別れ、あたしはその場に少し留まっていた。
時間を置いて、出るつもりで。
鉢合わせにならないようにしないと。
あと、3分経ったら、玄関を後にしよう。
時計を見ると、ちょうど、あと3分で3時半になろうとしていた。

