こんなやる気のない奴が主席で合格?
その事自体に苛ついた。
入学式でそんな態度を取れる方が俺は難しいと思う。
チラリと横を見れば、顔を真っ赤にして怒りを露わにしている校長や教頭。
後ろに座っている親達も、ザワザワと騒ついている。
……コイツの親は恥ずかしくねーのか。
「ーーー終わりまーす」
……やる気のない本人は、悪びれる様子もなく、きっと、やっと挨拶が終わったことに対して嬉しさを感じているのだろう。今まで一度も見せなかった表情を浮かべる。
頬を緩めて、安心したかのような自然な表情を浮かべた。……一瞬だけだけど。
今まで、真顔でやる気のない顔だったからこそ、こんな表情が出来るのかと少し目を奪われた。
入学式が終わり、クラス発表があった。
俺と中学の頃からの同級生の荘士とは違うクラスだったけど、ずらずらと綴られた文字の中から、"漆原藍"という名前を見つけた。
「…」
え。なに喜んでんの、自分。
嬉しいの?あんなやる気のない女と一緒のクラスで?
いやいや。違う違う。
…気になるだけ。最後に見せたあの表情が、頭から離れない。……だけ。

