溺れるくらいの愛情を。






「それじゃぁ言わせてもらうけど、猫かぶってて何が悪いの?
周りにいい人に思われるように行動することのどこが悪いの?」


月「そんなの悪いに決まってるじゃん。
自分を偽って商売して金稼いでたんでしょ?
最悪すぎるし。」


「じゃぁあんたは違うわけ?
私の前では何もないかのように仲良しな"ふり"をして、陰で私が付き合ってた人と付き合ってたよね?私の前で猫かぶってたのにさ。

それに仕事は真面目にしてた。それこそ何も知らないあんたに言われたくない。自分をいいように見せるのも、あの業界では必要な事なのよ。」


月「な、なによ‼
開き直ってんの⁉」


「もう最低でも何でもいいから話し終わっていい?
自分が正しいと思ってるのならそれでもいいよ。
話してるだけ時間の無駄みたいだし。」



強制的に話を終わらせた。
正直面倒でしかないし、周りにどう思われようが私には関係ない。
私には…新しい家族ができたんだから。
琉衣さん達が分かってくれていたら、それだけで十分だ。



このやり取りはすぐに学校中に広まった。
もちろん悪者は私。今までちやほやされてきた私をたたけるのが嬉しいのだろう。
モデルという肩書を捨て、今の私には何もない。
強いて言うなら琉衣さんの女になったことくらいだ。



女子「あの女、岩本組組長の女になったんだよね。
顔はいいけど性格は最悪なんでしょ?
あの組長の女になるために体でも使ったんじゃない?」


女子「それだったら超笑えるんですけど。
モデルできゃーきゃー言われてた人が体使ってしか男捕まえられないなんてさ。」



私に聞こえるようにわざと言ってくる女生徒達。
それを聞き流している私が気に食わないのか、さらに悪口がエスカレートしていっている。

……それすらも聞き流す私。
こんなこと気にしていたらきりないもんね。



今日のご飯は何を作ろうかな、なんてことを考えながら過ごしていた。