学校に着き、お礼を言ってから車から降りた。
すると学校の前にはマイクやカメラを持った人がたくさんいた。
報道陣「今、車から出てきました。
平井さん、モデルを辞めて極道の関係者になるという噂が流れていますが、事実なんでしょうか?」
報道陣「しかも岩本組だと耳にしたのですが、排除すべきだと今政策が出されようとしているのはご存知ですよね?
それなのに人生を棒に振ってまで、自ら踏み入れるのですか?」
……この人たちは何もわかっていない。
琉衣さん達は世間から見たら悪い人達だ。
綺麗な職ではないし、決して褒められるような事もしていない。
それでも私は彼に着いていくと決めたんだ。
「その噂は事実です。
私自らその世界へと足を踏み入れました。
……しかし、私はそ人生を棒に振るったとは思っていません。
綺麗事かもしれませんが、私にとって彼らは家族です。
例えどれだけ周りに罵倒されようが、私は彼らの味方になりたいと思っています。」
報道陣「家族…ですか。
本当の家族に申し訳ないとは思わないんですか?
おそらく周りから非難の声をかけられると思いますけど。」
"本当の家族"?
この人達は本当に何もわかっていない。
「本当の家族など知りません。
あの人たちも私の事をいない者として扱っていましたし、家族だなんてお互いが思った事ないですよ。」
報道陣「…平井さんは冷たいのですね。
親への感謝はないのですか?」
「それなら逆に聞きますけど、あなたは家に帰っても存在を認識されず、認識されたとしても醜いものを見るような目で見られ、その上母親が不倫してできた子供なのに母親ではなく自分が責められる……こんなことをされて、親へ感謝出来ますか?」
私の問いかけに誰一人答えない。
それはそうだ。
そんな状況になったことのないこの人達は想像するだけで精いっぱいだろう。


